バレエ発表会のつくりかたの流れ

バレエの発表会の作り方の流れの一般例です。バレエ公演アドバイスプランの場合には、この流れに沿ってバレエ発表会の作り方をご提案させていただきます。(バレエ発表会当日の流れはこちらをご覧ください。)

(1)劇場を抑えます

 多くの公共ホールでは、一般団体が予約可能な時期が定められています。例えばある自治体の公共ホールでは、「使用日の6か月前の月の1日から予約可能」というように決められています。なるべくその予約開始日に申し込みをし、公演日を決めてしまいましょう。

 なお、ほとんどの公共ホールは、1日を「午前」「午後」「夜間」の3区分に分けています。公演時間は多くの場合は夕方頃からが多いですが、ちゃんと午前から夜間まで丸一日予約しましょう。なぜならば、リハーサル時間も必要ですし、リハーサルの前にはスタッフが仕込みをする時間が必要だからです。公演規模によっては、当日だけでなく、前日夜間や前日午前から劇場を抑えてしまうような場合もあります。

(2)出演者を固め、演目の内容を決めます

 生徒さんのうち、発表会に出場する方を募り、どんな演目を誰が演じるのかを決めていきます。この時点では踊る順番は決めなくて構いませんが、合計何分間の上演になるのかと、どんな舞台装置や舞台照明が必要になるのかをイメージしておくことが必要になります。

(3)簡単なタイムスケジュールを決めます

 ごく簡単で問題ないので、仕込み日と本番当日のタイムスケジュール、そして本番までのお稽古日程を先に固めます。

 仕込み日と本番当日のタイムスケジュールで大事なのは、何時からが本番で、何時からがリハーサルなのかということです。スタッフたちは、リハーサルの前までに仕込みという作業をおこないますので、その時間がどの程度確保されているのかを知らしめるためにもあらかじめこれらの設定が必要です。

(4)スタッフを手配します

 舞台監督、音響、照明などのスタッフを手配します。ただし、規模によってそれらのスタッフを外部に依頼することなく、自前でできてしまうことや、劇場付きのスタッフが手伝ってくれることもあります。音響は自分たちでできるけれど、舞台監督は外部に依頼したい、など、部分的に依頼しようという場合もあります。  スタッフ手配は、本番直前だと間に合いません。なぜならば、公演直前になるとスタッフたちは既に他の現場での仕事が入ってしまっているからです。

 スタッフの数は、現場の規模やタイムスケジュールによって大幅に変化します。例えば照明のスタッフを依頼しようと思っても、仕込みに必要な量と時間によって、手配すべき人数が変わってきます。照明や音響などの舞台業者は、タイムスケジュールと公演規模を聞いて、手配人数を見積もってくれますが、規模のわりに時間がタイトなタイムスケジュールを組んでいたりすると、人数がたくさん必要になってしまい、高額な見積もりになってしまうことがあります。逆にいうと、少数のスタッフでまわすために、タイムスケジュールに余裕を持って劇場を抑えておくととてもやりやすくなりますし、トータルではそちらのほうが安価に済むケースが多いと考えられます。

(5)舞台装置や幕を手配します

 例えば背景に用いるドロップ幕や、ジョーゼット幕といった幕類や、大道具などの舞台装置が欲しい場合にはそれらを手配します。ジョーゼット幕のような汎用性があるものの場合には、劇場に備え付けて置いてある場合もありますが、具体的に絵が描かれたドロップ幕は、劇場には置いてありませんので専門業者からレンタルする必要があります。舞台装置の場合は、レンタルはあまりありませんので、イチから専門業者に作成を依頼することになりますが、特注になりますので高額ですし、製作時間がかかるためなるべく早めに依頼をかける必要があります。

 また、バレエの発表会を日常的におこなうような公共ホールでは、劇場備品としてリノリウムを持っていますが、劇場に備え付けのものが無い場合にはリノリウムをレンタルしたり購入する必要が出てきます。

 ドロップ幕をレンタルする場合にも、手配もはやめにおこなっておかないと、他のバレエ教室の発表会に先に取られてしまうことがありますのではやめに動きましょう。

(6)スタッフと打ち合わせをします

 いつもお願いしているおなじみのスタッフの場合は別ですが、初めて一緒に現場をこなす場合には、事前に打ち合わせが必要です。タイムスケジュールやどんな内容の上演をするのか、どんな舞台装置やきっかけ合わせが必要なのかを確認する場になります。必ずしもすべてが完璧に決まっている必要はありませんが、方向性のイメージの共有は絶対に必要です。というのも、打ち合わせ次第で、先生のほうでは当たり前のように感じることが、裏方スタッフ的にはとんでもなく大変なことで、追加の費用が発生してしまうようなケースがあるからです。事前に打ち合わせをしておけば、追加の費用を支払ってまでやるべきことなのか、それとも費用は抑えてより簡便なやり方で進めていくべきなのかのすり合わせが可能になります。

 例えば、「キュー」をどれだけ出すのかは、裏方スタッフの事前確認量を左右します。生徒の動作にあわせて音を出す、音の何かのタイミングに合わせて照明をつける、生徒の動作にあわせて緞帳をアップダウンするなど、そういったキューのひとつひとつが積み重なっていくと、事前の稽古での確認をスタッフがおこなう時間が必要だったり、当日劇場で生徒や各スタッフがあわせて「場当たり」とよばれる作業に時間を割かなければなりません。一方で、究極的にはそういった「キュー」が何もなければ、(あまり望ましくはありませんが)当日場当たり無しでリハーサルをいきなり進めることもできます。これらが必要なのかそうでないのかといったことも事前の打ち合わせですり合わせておきましょう。

 これ以外にも、先生側から各スタッフに対して要望があればあらかじめ伝えておきます。例えば「このシーンは夜のシーンなので薄暗くしてほしい」とか「この曲の何分何秒のところで緞帳をアップしてほしい」というようなことを、照明、音響、舞台監督各スタッフに伝えていきます。

(7)劇場と打ち合わせします

 劇場使用日の一か月前ほどのタイミングで、劇場と打ち合わせが必要です。劇場側から「来てください」と言われると思います。その際、舞台監督や音響、照明などのスタッフも同席できると完璧ですが、同席できない場合には個別にそれらのスタッフから劇場に連絡をとってもらう場合もあります。

 劇場との打ち合わせでは、当日のタイムスケジュールの確認と、劇場内のどんな機材や場所をどの程度使うのかなどを確認されます。例えば楽屋として使う部屋はどこなのかとか、受付用の机はいくつ使うのか、バレエ教室側で使う駐車場に留める車の台数などをことこまかに確認されます。同時に裏方スタッフのほうでは、どんな照明や音響の機材を使用するのか、それを誰が操作するのかなどを聞かれます。ここで、プロではない人が名ばかりの裏方スタッフとして名前を登録していて、劇場のスタッフから質問を受けたときに「何もわからない」となってしまうと、劇場側から「プロを連れてきてください」と言われることがあります。あるいは、プロを連れてこれないのであれば、幕を吊ることや特殊な照明を使うことを禁止されてしまうようなこともあります。劇場によっては、追加のお金を支払うとスタッフを増員してくれて、多少の操作を手伝ってくれることもありますが、事前に打ち合わせが必要なことはほぼ無理ですのであまり期待しないほうがよいでしょう。

(8)スタッフに通し稽古を見学してもらい、打ち合わせをします

 舞台監督、照明、音響の各スタッフに稽古場に来てもらい、通しで稽古を見てもらいます。このとき、スタッフ側は裏方の視点で必要な要素を確認したいので、踊りの出来・不出来は関係ありません。ちゃんと踊れてないとか振付を覚えていないような生徒がいても、途中で止めるようなことはせず、ひととおり通してみましょう。裏方としては、踊れてるかどうかではなく、例えば舞台のどのエリアで踊るのか、どの幕のあたりから登場するのかといった点や、音のどのタイミングで踊りだすのかといった点を確認したいのです。生徒のためではなく、裏方スタッフのための通し稽古だと思ってください。

 通し稽古が完了したら、先生と各スタッフとの間で疑問点の確認をおこないます。先生と舞台監督、照明、音響の全員が一堂に揃っていると意思疎通が楽にできるので、通し稽古日程はなるべく早めに決めてしまって全員が揃うようにしておくと安心です。

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